批判的思考②

このとき問題になるのは、反省的態度が自身のもつ論理性=合理性を根本的に疑ってかかるかどうかだ。論理性=合理性が複数ある場合、自身の組み立てる論理を疑う必要がある。もし論理性=合理性が1つである(論理性=合理性をもつことが相手と分かり合える手段である)とすれば、反省的態度は自身の論理を調整するものであろう。

平山・楠見(2004)によれば、
①論理的思考の自覚
②探究心
③客観性
④証拠の重視
という4つの批判的思考態度が見出されている。

ここからすれば、①なんかは論理を調整するものである。②、③、④などは主観を離れて多角的な視点を確保しようとするものである。批判的思考態度は、どうやら調整的なものなのである。そうすると、批判的思考では論理性=合理性が1つのものとして理解されている。つまり、批判的思考は論理性=合理性への信頼に基づいたものである。

私はあまり論理性=合理性に対して信頼がないし、うまく操ってもいない。そのために論理性=合理性に疑いをかけてしまう。しかし、例えばセンター試験国語がなんとなく全部正解できる気でいたのも事実だし、テスト用の論理、本を読むときの論理を使い分けている気がするのも実感としてある。私が信頼すべきは、論理が1つであることというよりは「すべてのものに何らかの論理がある」ということだろう。

「すべてのものに何らかの論理がある」という意味での論理への信頼を、教育で教えることができるかもしれない。それは広い意味で知への信頼を学ばせることになるだろう。