批判的思考について

批判的思考ってなんだろう。

批判的思考がなんとなくいいことだと知っている。しかし、批判的思考がどんなものか具体的にはわからない。


問題は、批判的思考という言葉のイメージにあるだろう。批判的思考のイメージは、論理的でありながら、1人よがりではない、さらに創造的なものでもある。なんとなく、現代でよいとされる能力を足してみたという気もする。

批判的思考がどのようなものかを知る最適な本を見つけた。ワードマップというシリーズが好きでよく手に取るのだが、批判的思考という本が出版されていた。Amazon.co.jp: 批判的思考 (ワードマップ): 楠見 孝, 道田泰司: 本

その中で、批判的思考をうまく表している図があった。
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この図は批判的思考を定義しようとした学者を、3つのベクトルで配置したものである。日常的なイメージにおける批判は、ほぼ全面には表れておらず、態度あるいは技能としての批判的思考が焦点となっている。

実は、この態度と技能は矛盾する可能性もある。批判的思考を好意的に受け取れば、合理的=論理的な技能がすべての問題に用いることができるものであり、反省的=省察的な態度がその行き詰まりを解決するのかもしれない。しかし合理性=論理性が複数あるとすれば、どのようにその合理性=論理性をブリッジすることができるのか。

しかし、批判的思考の定義を論じる学者は、そのような複数の合理性=論理性について触れていない。合理性=論理性は常にすでに「(自身にとって)」という冠詞を伴っているようなのだ。そのため、反省的な態度が必要になってくる。

批判的思考を万能なものとして見ず、自身の教育活動が批判的思考とどう関わっているかを知ることはとても重要である。